第一著者のナタポンがカリフォルニア大学サンディエゴ校にあるスウォーツセンターに来て私に会ったのは数年前のことでした。当時、私はコモジュグラム/コモジュログラムの概念を(そうとは知らずに)「再発明」し、とても気に入っていました。これは周波数交差パワーパワー結合を可視化したもので、スペクトラ共分散とも呼ばれます。私はナタポンにこれで論文書かないかと提案したところ、彼は快諾しました。それでこの論文が出たというわけです。
ジャーナルのページ
https://www.mdpi.com/1424-8220/20/24/7040/htm
EEGLABプラグインのウィキのページ
https://github.com/sccn/PowPowCAT
脳波信号のパワースペクトル密度で二峰を見ることが時々あるかもしれません。しかしこの四峰を見たことはありますか?この脳の持ち主は私たちの研究所の院生です。
このコモジュログラムという図は、私の研究領域で最も近いところではブザキ研究室で最も多用されているように思います。実際、ナタポンと私はブザキ研にメールを書いて、情報を集めたものです。彼らは非常に親切で、ギョルギーさん自身が丁寧に対応してくれた上、当時の担当者とその周辺の方たちを紹介してくれたおかげで、いろいろ面白い(裏)話を聞くことができました。
最初、私が純粋に初めてこの可視化を思いついたとき、これが既知の方法なのかどうかもわかりませんでした。周りの賢い人たちに聞いて回ったりしたのですが、誰も知りませんでした。のちになって、ナタポンと私はこれがコモジュグラムと呼ばれるものだと知ります。しかし、私はこの名前に不満でした。もう一つの名前であるコモジュログラムのほうが造語としてまだましだと思います。一番いいのはもちろん完全に書き下した名前、パワーパワー交差解析法 (PowPowCAT)です。正直言うと、「パウパウキャット」のような素敵な名前の計算ツールであれば、計算内容が何であれやる気全開で論文化することでしょう。ちなみに私の師匠のスコット・マケイグは、こんな名前はやめろと言っていました。彼は奇を衒わない、枯れた名前が好きなのです。しかし奇を衒わないのも一つの衒いであって、私にとっては同じことです。もし、コモジュグラムツールという名を強制されていたら、わざわざ論文にしなかったでしょう。ポップなネコのイラストを夢見ながら論文を書くなんて、なかなか経験できませんよ。